紀伊山地「熊野古道小辺路」
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左=高野山金剛三昧院を出発  右=三浦口吊橋
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上西家跡
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左=三浦峠の手前で  右=小辺路の古道
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果無集落から伯母子岳方面を望む
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左=果無峠  右=本宮大社本殿
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熊野本宮大社前で
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 熊野古道は遠い昔より熊野詣のため、多くの人達が行き交った参詣道として3ルートある。一般的なのが、大辺路・中辺路で、貴族や庶民が通り「蟻の熊野詣」といわれるぐらい賑わった。現在もロマンを求め多くの人達が訪れているが、古道は道路に寸断され車道歩きが多くなっているようだ。
 小辺路の歴史は浅く、庶民の道で高野から本宮大社まで短時日で駆け抜けられ、その分厳しい道だ。1000メートルを超す峠、三ケ所の険しい谷を踏み越えて行く山岳道で、現在は世界遺産登録がなされたことから、ルート整備と民宿が開業して比較的訪れやすくなった。とはいえ、厳しさは変わらない。古道の趣が多く残る参詣道である。
 我々は小辺路の踏破に三泊四日で挑んだ。

1日目(5/5)晴れ
 JR京都駅を朝7時過ぎの列車に乗り、小辺路の出発点=高野山金剛三昧院に着き、出発したのが10時5分だった。林道をロクロ峠から薄峠まで行く。行きがけの駄賃に、峠のすぐ上の藪の中の三等三角点を踏む。
 峠から山道を下り、高野マキの植林を抜け、御殿川に架かる橋を渡って登り返すと車道にぶつかる。右に辿れば新家集落に着く。標柱には大滝とある。民家の横にきれいなトイレがあるのでお借りする。標識に従い、最奥の民家の庭先を静かに通らしてもらい、山道を行き着けば龍神スカイラインにぶつかる。次の水ケ峰入り口まで約30分、危険な車道歩きだ。歩道などないので対向車側を行く。車道はカーブが多く、奈良県・和歌山県の境を何度か跨ぐうちに着く。水ケ峰入口の案内板から山道に入り、辿れば舗装林道(タイノ原線林道)に出る。車はほとんど通らない。途中、林道脇に東屋があるので休んでいこう。林道と山道の出入りを繰り返し、平辻に出て更に山道を辿れば大股方面を示す道標を見て、その先にある津田旅館の看板から下って行けば大股バス停に降り立つ。橋を渡り、右すぐに津田旅館がある。集落に一軒しかない民宿で、我々で満員 貸切だ。
 宿の手配で、風呂は川の上流にある野迫川温泉からマイクロバスが送迎してくれた(400円/人)。
・コース=千手院バス停(10:20)〜金剛三昧院(10:35)〜ロクロ峠(10:40)〜薄峠(11:30〜12:05)〜御殿橋〜
     大滝(12:55〜12:55)〜スカイライン(13:40)〜水ケ峰入口(14:15)〜タイノ原線林道出合(14:25)〜
     平辻(15:55)〜大股バス停〜津田旅館(16:45)

2日目(5/6)晴れ
 津田旅館横の坂道が伯母子岳への登山口だ。民家の間を抜け、急登をこなすと林間の広場に着く。萱小屋跡で、まだ新しいログハウスの作業小屋がある。山道を登っていく先は桧峠だ。峠からすぐのところに夏虫山への標識がある。伯母子山塊の中で標高が一番高く三角点峰である。頂上へは、テープと踏み跡を辿って行けば雑木林の中に三等三角点があって、小さな標識があるだけで展望は全くない。不人気の山のようだ。
 我々は悲しいかな山屋の端くれで、頂上や三角点を見逃せないのだ。元に戻り緩やかな山道を伯母子岳を見ながら辿れば十字路に着く。登り道は伯母子岳、右からは護摩壇山からの縦走路、腹を巻くのが小辺路で、迷わず山頂を狙う。山頂は大きく開けて360度の展望が約束されていた。三角点はない。先ほど登った夏虫山が隣にドッカリとある。大峰・奥高野・三浦峠・果無山脈と、紀伊の山並みが一望できる。伯母子峠に降りると開けていて、山小屋とトイレ棟がある。小屋の内部は掃除がされている。水場はない。峠から大峰の山々を見ながら下って行き、崩壊地や山抜け道を経て上西家跡(旅籠)の広場に着く。おそらく、往時は相当な人馬が行き交い賑わったと想像できる。山桜が満開だ。
 植林の中に弘法大師像が祀られているのを見て、荒れた石畳道を下りきると三田谷橋のたもとへ降り立つ。橋を渡りトンネルを抜け、五百瀬集落から三浦口に行けば今夜の宿=岡田屋(農家民宿)に着く。
 人数が多いので母屋で泊まれず、川側の別館(神納舎)で、ここも貸切で手足を伸ばす。
 雲行きが怪しくなってきた。世界遺産登録後、民宿岡田屋開業。他に二軒あるようだ。
・コース=津田旅館(7:40)〜萱小屋跡(8:30)〜桧峠(9:20) 〜夏虫山往復(10:25)〜十字路(10:55)〜
     伯母子岳(11:10〜11:50)〜伯母子峠(12:00〜12:20)〜上西家跡(13:00〜13:10)〜三田谷橋(15:35)〜
     岡田旅館(16:20)

3日目(5/7)曇りのち晴れ
 夜半から朝方に雨が降っていたが、出発時には止んだ。民宿のおかみさんが、神納川に架かる吊橋まで見送ってくれた。吊橋を渡り道なりに登っていけば棚田が広がる集落に着き、民家の庭先を通って山道に入っていく。うっそうとした植林の中に大きな杉の古木が現われる。吉村家の防風林である。少し登ると清水が沸く水場があり、飲めるようにコップが置いてある。山腹の道を、二十丁石・三十丁石の目印を見て登れば植林の伐採跡に出て、切り開きの道を行けば林道が通る三浦峠だ。
 トイレと東屋があり開けている。伐採現場が近くにあって、切り出した木材を満載したトラックが行く。近くの山に三角点峰があるのだが、伐採跡で植樹しているため鹿除けネットが張り巡らされ、取り付きようがなく断念する。
 山道を下り、茶店があった古矢倉跡を過ぎ、石積みが残る尾根道を行く。趣のある山道である。観音堂が見え出すと里が近い。無人の家が二軒ある庭先を借りて昼食。すぐ下の林道に下り、古道と出入りを繰り返して西中大橋バス停に出る。ここから、車道を行くこと9キロ先が十津川温泉だ。唯一のバスが来たが、車道も小辺路のうち。辛いが我慢して歩いてもらう。昴の里を右に見て十津川温泉の中心に向かう。奈良交通バスセンターの近くに今夜の宿(田花館)がある。路傍に温泉が出て、飲めるようにコップが置いてある。旅館の玄関先にもあって便秘に効くとか。久し振りの源泉掛け流しの温泉である。温泉と料理で英気を養う。
・コース=岡田旅館(7:35)〜吉村家防風林跡(8:15)〜三浦峠(9:55〜10:15)〜無人の二軒家(12:05〜13:00)〜
     西中大橋(13:35)〜十津川温泉田花館(16:00)

4日目(5/8)曇りのち晴れ
 小辺路歩きの最終日で、果無峠から本宮大社へ向かう。皆さん英気を養って元気である。
 早立ちをして蕨尾口バス停まで戻り、橋を渡ってすぐ右にとり、案内板のある登山口から山道に取り付く。果無集落では民家の庭先を通って林道に出る。振り返れば、集落の先に辿ってきた三浦峠、奥に伯母子岳が姿を見せている。眼下にダム湖、そして温泉街を見る展望箇所だ。好天に感謝! ここから西国三十三ヶ寺観音像が始まり、数えながら峠に向かう。果無山脈が前方に見え、急坂の石畳が残る道は唯一水場がある観音堂に着く。すぐ後から七人組が登ってきた。珍しく人に会う。九州の人達だ。
 展望台から更に登って果無峠に着く。展望はほとんどない。七人組と合流したため、峠はひしめき合う。十七番観音像がある。山旅の高所で感激に浸っておれず、観音像を数えながら七色分岐に向かい、確認して先の林道に出る。その先の民家の横から八木尾のバス停に降り立つ。観音像一は少し離れたところにあるのだが見つからない。熊野川を左に見ながら、国道168号をしばらく歩かねばならない。右に入る林道に三軒茶屋跡への標識を見て、緩やかな坂道を辿れば茶屋跡に着く。中辺路との合流点で、さすがに人出がある。東屋で休んだあと関所跡を通り、尾根道を大社に向かう。大社の森が見え、裏手から境内に入り、小辺路の旅の無事踏破を報告して終わる。全員無事踏破の達成で幕を下ろす。(北川 記)
・コース=旅館(6:05)〜登山口(6:30)〜観音堂(8:40〜8:50)〜果無峠(9:25〜9:40)〜八木尾バス停(12:00)〜
     三軒茶屋跡(12:50〜13:00)〜熊野本宮大社(13:35)(北川 記)

・日 程=5月5日〜8日
・リーダー=北川嘉康/サブリーダー=垂沢祥夫
・参加者=14名
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